forenta story
forenta発案者
三代目山共 田口房国です
僕は岐阜県東白川村というところに生まれ育って、今もここで仕事をしています。
製材屋の家に生まれて、物心ついた時から祖父におんぶをされて山に連れていかれるというような環境で育ってきました。ですから森林というものはとても身近、というか、生活、または人生の一部であると思っています。
社会人となり、家業である山共に入社して20年、林業や製材の仕事に携わりながら、どうにかして多くの方に木材を使っていただきたいと取り組んできました。
ドイツでの衝撃
5年ほど前、木材の研修のためにドイツに行きました。ドイツの山づくりや木材加工機械を林業大学や企業で視察したりしましたが、一番衝撃は視察メニューにない場所にありました。
僕が行ったバーデン=ヴュルテンベルク州はシュヴァルツヴァルトという森林地帯が有名なところですが、週末になると家族や仲間たちと連れ立って森に行くんですね。そして、そこでハイキングをしたり、自転車に乗ったり、バーベキューをしたり、みんな思い思いに過ごすんです。
林内を走る道は乗用車でもスムーズに走ることができるしっかりした道ですし、バーベキュー用にちょっとした無料のベンチやテーブルがおいてあるのです。別に混み合ってもいませんし、そもそも商業化もされていないようでした。森林は誰もが無料で遊べるフィールドなのです。ここには個よりも公、個人の資産であっても公益性の方が重要視されるドイツ特有の文化背景もあるかもしれません。
僕はこのような光景を見たときに、工業国ドイツが木材分野・環境分野でも先進国である理由が少し分かったような気がしました。
森林に胸を張って入れる
ドイツの森林率30%に比べると日本の森林率は66%、確かに僕の周りも森林がたくさんあります。しかし、有名な山に登山をするのは別として、人が自由に森林に入ってそこで何かするということはほとんど見たことがないですね。僕はドイツのようにもっと一般の人が享受できるような森林の在り方がこの日本にも定着していかないかとずっと思ってきました。
でも、文化や習慣の違いがあります。ルールやマナーも整備されていません。そしてその仕組みも受け皿も出来ていません。山主は「キノコを採られたくない」と言い、林業関係者は「木を傷つけたくない」と言い、地元の人は「山火事が怖い」と言います。確かに不特定多数の人が森林に入ることによるリスクも増えるでしょう。
しかし、森林が活用されないままでは山村に未来はありません。僕は一般の人が森林に胸を張って入ることができる仕組みの一つとして、森林レンタルサービスforentaを発案しました。
forentaにかけた思い
forentaは、
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森林という資源、フィールドを一般の方々に開放する、ということ。
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山主、林業関係者、田舎に住む人の意識改革を促す、ということ。
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森林というフィールドが経済の循環の中に取り込まれ、人の生活に取り込まれ、やがて文化として醸成されることを目指す、ということ。
こんなことを願って始めた、山側からのアプローチです。
国土の3分の2を占める森林が多くの一般市民によって活用されることになれば日本にとって計り知れない恩恵をもたらすに違いありません。
森林という素晴らしい資源を持つこの国で、多くの人とともに分かち合いながら、人の豊かさの象徴としての「森林」を後世に残していきたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。